地上の試し8

「奇妙な力を持つ皮手袋を持っているってのは、あなたたちか?」

声を掛けられたのは、最早説明をしなくてもわかるかとは思うが、
小柄で可愛らしい少女詩緒と、
寝起きそのままと言う感じの髪をした長身痩躯の青年天蛇
の二人組みである。

声を掛けたのは、金持ちにでも雇われていそうな、
上等な着物を着た傭兵と言った風情の青年3人組である。
ちなみに身なりはきちんとしているようだ。

「皮手袋・・・?そういえば、あんた皮手袋をして・・・」

「俺のはそこらで拾って、
 なんだか気に入っているから着けているという、しろものですよ?
 だから片手しか無いんですよ。


 俺がそんな変な力を持った大層なものなんて
 持っているわけありませんでしょうが。

お嬢様が、お父君からお預かりしておられる包みに入っているものが、
 そうなのではないですか?」

いぶかしげな表情をして
天蛇の方を振り向きながら言った詩緒の言葉を
遮るようにして、天蛇はそう答えた。

「拾った手袋後生大事に持ってるの?あんた・・・?」

思わず無表情に突っ込みながら、
詩緒は父から渡された包みを見てみる。

詩緒はこの包みを届けるために旅をしている訳だが、
中身を見たことは一度も無く、
何が入っているかも聞かされていなかった。
言われて見ると、
皮手袋1双分くらいの小さい包みではある。
もしかしたら天蛇の言っている事は
合っているのかも知れないと、
詩緒が考えていると、
先ほど声を掛けてきた3人組が再び声を掛けてきた。

「そこのお嬢さんが持っているのか?
 我々の主がそれをご所望でね。
 痛い目を見たくなかったら大人しくそれを
 渡してくれないか?」

そう声を掛けてきた3人組に対し、
何故か天蛇が詩緒の尻を触りながら答えた。

「さぁ、お嬢様。
 俺が痛い目を見ないうちに、
 この軽い尻を生かした体術で、
 颯爽と返り討ちにしてやってください。」

詩緒は深いため息をついて、
一呼吸置いてからその場で足を振り上げながら
勢いよく回転しつつ叫んだ。

「だから!触るなって言ってるでしょ!!」

ものすごい勢いで繰り出された詩緒の回し蹴りは、
天蛇に難なくかわされた為、そのまま一周して、
半ばやけになりながらも向え側に居た3人の男達への
飛び蹴りへと変わった。

その後詩緒は、
ここ数日天蛇にかわされ続けた鬱憤を晴らすかのごとく、
3人の男達を蹴り倒したのであった。

 

 


一方その頃、先日道を尋ねていたあの長身の男は・・・・。


「俺は、確か・・・山道に向っていたはずだが・・・・。」

そう呟きながら、雄大な大海原を険しい表情で眺めていたのであった。



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