地上の試し3
「おうおう、怪我したくなかったら有り金全部だしな。
嬢ちゃんがた」
2度あることは3度あるとはよく言ったもので、今日も今日とて山賊と出会う。
呼び止められた旅人は、
またしても、長い艶やかな黒髪を麻紐できっちりとまとめた少女と、
髪を整える気が無さそうな黒髪の青年、天蛇の
二人組みである。
前回と違うところと言えば、
山賊が二人だというところくらいである。
「あっ・・・てめぇは・・・!
兄貴!こいつですよ。数日前に俺に回し蹴りくらわしやがったのは!!」
山賊の一人が、天蛇と少女の二人を指差し叫んだ。
どうやら先日の山賊のようである。
兄貴といわれた男は、
二人を一瞥してから睨みを効かせて言ってきた。
「てめぇが「えんだ」とか言う野郎か?
よくも俺の弟に怪我させてくれたな!」
山賊を倒したのは天蛇の方だと思っているような言い振りである。
おそらく女に蹴り倒されたとは言いにくかったのであろう、
天蛇に倒されたと話したようである。
その台詞に、天蛇は頭をぼりぼりと掻きながら、
けだるそうに言葉を漏らした。
「あー。脳味噌が蟻ほどにも無い人間に、
覚えていろと言うのも無理な事かと思うけどさぁ、
俺の名前は「てんだ」。天を駆ける蛇って書いて「天蛇」。
山賊ごときが気軽に声に出して言えないような崇高な名前だろ?
・・・あぁ、だから覚えられなかったのか。
無理言って悪かったな。」
そう言われた山賊は、当然の事ながら烈火のごとく怒り出した。
「てめぇ!!絶対許せねぇ!!」
そう言い、襲い掛かってくる山賊に対し、
天蛇は少女を自分の前に据えて言った。
「お嬢様。ほら。あなたの出番ですよ?」
「なんで私があんたの代わりに
戦わなくちゃならないのよーーーー!?」
少女は、そう叫びながらも、
襲い掛かってきた山賊の武器を蹴り上げ、
ひるんだ隙に足払いを掛け、無様に転んだ山賊の首筋に向かって、
全体重をかけて肘鉄を叩き込んだ。
山賊があっさり気絶したのは言うまでも無い。
弟を倒された山賊が、怒声を発しながら
怒ってこちらに襲い掛かってくるのを横目で見ながら、
天蛇は山賊を倒した少女の横に立ち、
その右手をまたも少女の尻に当てて、
円を描くように撫で回しながら、天蛇は呟いた。
「さすがお嬢様。
未発達の軽そうな尻をお持ちなだけあって、身軽ですね。」
感心したように頷きながら言う天蛇に対し、
少女は問答無用で回し蹴りをぶつけようとして、
またもやするりと逃げられた。
その怒りのぶつけ所を失った足は、
向かって来ていた山賊に向けられる事となったのであった。
数分後、またもや倒された山賊たちが、
その場に置き去りにされた事は言うまでも無い。